AIが出てきたせいで、一緒に働く人に無茶な要求をするようになってたかもしれん

最近気づいて、うわこの考え方危なすぎるわ、やめよう、と思ったのでメモしておく。

思考の落とし穴

前提として、AIと人間を比べてどっちが役に立つか、みたいな議論は本当に最悪なので避けたい派である。仮にAIのほうが役立つよね、となってしまったときの未来が最悪すぎるので。

そうではなく、人はこういうことが得意で、AIはこういうことが得意だよね、と整理する方向に進めたい……と思っていたのだが、これはこれで結構な落とし穴を秘めている思考の方向性である。なぜかというと、僕たちは人についてはすでによく知っているような気がする一方で、AIについては最近知ったばかりだから、学習の結果として「AIでできないことはこれなので、これを人にやらせよう」と思ってしまうのである。

でも、冷静に考えてほしい。AIが苦手なことって、人間も大抵苦手なのだ……。

AIが得意なこと

大規模言語モデルというだけあって、昨今のAIの言語能力はヤバい。付け焼き刃のシャカイジン「言語化」パワーは一撃で返り討ちに遭うレベルの、高い言語化能力を有している。そして、社会で論理的思考力と見なされているものの多くは、この高い言語化能力によって、十分すぎるほど代替できてしまう。

そんなことない、って意見もわかるけど。現実は悲しいほどすでに代替されている。僕も趣味の文章はコチコチと手で打っているけど、仕事のドキュメントなんかほとんどAIが書いたものをレビューしているだけだ。それで足りてしまうし、そのほうが早いのだからしょうがない。

いや、チャットとかは人間がやるけどさ。だってチャットの向こうに人間いないと悲しいし。(調査依頼に対してdebug infoとかをリプライするのとかアナウンス文は別で、明らかに人間より文章整形能力が高いため、AIに書かせている。)

AIが苦手で、人間ならやれそう(?)なこと

翻って、AIが苦手なことはわかりやすい。僕らが日々AIにイライラしていることを挙げれば十分である。

まず、AIには責任感がない。コンテキストの続く間であれば人間の要求に答えるけれど、別にそれは彼らがそうしたいとか、そうしなきゃと感じているからじゃない。彼らは給料をもらってないし、その分しっかり働こうとも、次のシーズンの評価を気にしてバリバリやろうとも思ってない。

次に、AIには自発性がない。これもさっきと同じで、応答に答えるだけの仕組みだ。最近はなんか自発的に問題を発見しまくるみたいなループを回す仕組みも出来つつあるけど、それだって、自分でカッチリしたアウトプットを作って、それをカッチリしたインプットにしているだけだ。要するにプロセッサであって、インプットが曖昧な状態だと成果物は結構微妙なクオリティで出てくる。

そして、AIには身体性がない。パソコン操作の自動化とかを通じてある程度の身体性を獲得したと言ってもいいのかもしれないけど、それでも彼らは人間同士の飲み会とかには参加してこない。

期待がヤバい方向に行く

ふむふむ。なるほど、じゃあそれ以外の部分は全部AIにやらせる(あるいは、依頼した相手にAIを操作させることで完遂してもらう)として、後は全部人間がやればいいんじゃないか! 完璧な作戦である。

ほっといても頑張ってくれる責任感があって、適当なインプットでも自分からなんとかしてくれる自発性があって、いつでも出社してメンバーと会話して飲み会にもガンガン参加してなんなら企画から店の予約までしてくれる身体性がある。そんな人間はまさに最高の同僚だろう(?)。まあ、そんな人間はいないのだが。

もしこんな素晴らしい相手がいたとして、私たちが期待することは何だろうか。「AIを使ってなんとかできることは、別にあなたに期待してない。とにかく全部ポーンと丸投げしたい」。ああ、地獄の釜が開いてしまった。

AIが苦手なことは、人間も苦手だったってワケ

責任感がある同僚は頼りがいがある。しかし、人間は無限の責任を負えるわけではなく、限度がある。それに、責任が増えるとストレスがどんどん増えていくのは皆さんご存じの通りだ。だから、委譲する責任の範囲は適切にコントロールする必要がある。

自発性についても、碌なインプットがない状態で発揮できる人間などいない。情報を取りに行ってほしい、自分でなんとか補完しながらもろもろイイカンジにやっといてほしい、と思ってしまうのは単に怠惰だ。雑な投げ方をされた仕事を、丁寧にこなす人間はいない。やる側も雑になるのがオチではないか。

身体性は、……まあわれわれデスクワーカーがとやかく言うことではない。僕は階段を上がるたびに息が上がる。飲み会も、嫌いでもなければ好きでもなく、月1, 2回ぐらいならまあ呼ばれてやらんこともない程度である。

反省

「自分ではできないレベルの難しいことを、いつから他人に要求するようになってしまったのか? 自分はいつからこんな傲慢になったんだ?」とどのつまり、他者がなんでもやってくれると勘違いしてしまいがちである。

これは大きな間違いだ。人間に依頼するときは、資料をそろえて、なぜやりたいか、どうしたいかを説明するようにしたい。当然、AIに依頼するときよりもむしろ丁寧に。(AIと違って、人には心があるため……)

再三唱える。AIが苦手なことは人間も大抵苦手。